きょうの発言

「あんた、自分が売春婦って言われたらどーげん気持ちや」 「からゆきさん」の真実が知りたいと思い、歩き始めたばかりのころ。
天草の小さな集落を訪ねると、玄関で仁王立ちになった近親者の方から、そう言われました。私が「からゆきさん」のことを知りたがっているとわかると「好かん、好かん」と、刺すような視線を投げつけ、張り詰めた空気になったこともあります。 その一方で、90歳は過ぎておられたおじいさんから、こんな話も聞きました。

「夜、満天の星の下、潮騒を枕に子守唄がわりに聞かされた、わしのじいさんの話は海の向こうの話だった」 「この海の向こうにどのような人がいて、自分がどんな活躍をしたか・・・。多少の背びれ尾びれは付いたかも試練が、面白い話だった。そのまたじいさんもそがんだった。そのまたじいさんも・・・

「からゆきさん」を恥として隠そうとする心理も、海外雄飛の血が代々流れ、こから孫へと受け継がれていたという事実も、すべて「からゆきさん」を取り巻く天草の真実だと。女衒と呼ばれた村岡伊平冶さんのお孫さんに会いました。彼にも既にお孫さんがおられました。

時は静かに、けれど確実に、大きな歴史のうねりをのみ込みつつ、流れていると知りました。時は静かに、けれど確実に、大きな歴史のうねりをのみ込みつつ、流れていると知りました。

3月18日の夕刊です

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