江戸期女性の生きかた

遊郭は、江戸幕府の下、世界でも珍しい公娼制度として発足した。中略

遊里は男の代表的な娯楽の場であり、性教育の場でもあった。遊女たちは太夫以下の階級にわかれ、里言葉や衣装、調度など、独特の文化を築き上げていった。名高い遊女の中には、武家の婦女も及ばないほどの教育を身に付けたものもあった。中略

しかし、「苦界に身を沈める」といういい方が廓勤めを意味するように、貧しさゆえに遊女となった女たちには、いかに美妓として盛名をうたわれ、どのように華美を競ったとしても、しょせん身を売るものの哀れがつこまとっているのである。

昭和52年発刊の「人物日本の女性史」の中の 「江戸期の女性の生きかた」宮尾登美子さんが書かれた文です。

その中に、   女性の売春について語るのは、大変難しいとしながらも・・・・

ただ、いえることは、金銭は別としても、性は人間誕生の昔から未来永劫、絶えることのない需要であって、そのためにおきる人身売買や風俗の乱れには代々の為政者たちもかなり頭を悩ませたらしい。古くは天武天皇の頃、既に子を売ることの禁止令が出されているから、いわゆる奴婢が性の提供者でも会った労使、歴史を下るにしたがって白拍子が今の芸者の役割を果たしていたり、また遊女の里というものも物の本には至るところに顔を出してくる。

と、書いています。

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