1月21日 今日の発言
木造の階段を上ります。いったい何人の足が通ればこんなに磨り減るのだろう。いったい何人の手で、この手すりは黒く光るのだろう、と思いました。踊り場の裸電球に照らされた私たちを見て、さっと人影すら消えました。
部屋の中央に女の子が一人、女衒と用心棒が一人ずつ。現地の新聞記者、人権活動家、NGOスタッフ、彼等を紹介して下さった日本山妙法寺のお上人。彼らに守られて私。会いたいと言ったのは私でした。けれど、私は一言もしゃべれませんでした。
豊かな黒髪、大きな瞳、頬のあたりにまだ幼さを残した少女は17歳。ネパールから売られてきた少女でした。少女の肩には、ふるさとの幼い弟の食費や学費がかかっています。家の屋根の修理や、出入り口の戸板代がかかっています。私に何ができるでしょうか。少女を前にして、私には何もできません。抱きしめることさえできませんでした。
日本からお土産に持って行った髪飾りと何か小さな物を上げたと覚えています。売春宿の3階でした。
インド、ムンバイの私たちが運営している幼稚園がある地区は、世界最大の売春地帯です。売春人口約60万人、その内の約2割は16歳以下の少女です。毎年1万人以上の子ども達が売られてきます。平成13年2月、初めてのインドで知った事実でした。
・・・・以後、乞う ご期待でっす。 次回は1月28日です。