話合いの中で

インド、ムンバイリポート
2月3日、光の当たらない薄暗い廊下を歩いていて、私の足元を猫がすり抜けました。驚いて飛び上がりました。毎年の子ども達の家庭訪問。覚悟はしていましたが、やっぱり怖いんだと自覚します。
19世紀のイギリス統治時代から続く石造りの建物。1階は母親達が仕事をする売春宿で、2階3階は子ども達の生活スペース。
だが、時には母親の仕事場になります。階段の踊り場にたむろする2、3歳の子ども達。首や足首、お腹の周りに飾りをつけていますが裸、裸足。そばにいる男たちの鋭い視線を感じながらも、お腹を ポンポンとつっついて、両手で顔を包み込み ニーッと笑いかけてみました。とぼしい表情ながら、恥ずかしそうに肩をすぼめて身をよじる子ども達。抱きしめたら驚くだろうか と思っていたところへ スタッフが一人のお母さんを紹介してくれました。肩まで伸びた髪に細かいパーマがかかっている若いお母さん。出身地は聞きませんでしたが、肌の色でインド南部か、バングラディッシュと思えます。
「昨年から支援している子どもの母親よ」子供の名前は「ヒナ」
幼稚園で先ほど会った少女。彼女は幼稚園を卒園後、小学校へ行くことができました。
今、1年生。
エキスパートアライアンスからの援助で昨年度から支援し始めた 子どもの学費と生活費の両面から支えることができるプロジェクトの一員。「ヒナ」には今年度分の支援金(3名で年間10万円)がインド現地NGOアップネアップを通して支払われます。(お金の管理はNGOです・3年継続)
「時として幼い子どもはポケットに何かを入れられて、使いに出される。使いに行った先でお金を渡される。そのお金を持ち帰る。ただそれだけの事だが、ポケットの中身は ドラッグ。そうやって子ども達はドラッグの売人になっていく」
この支援のおかげで、子どもは働かなくても良くなりその分勉強に専念することができるようになっています。
卒園児はすべて学校へ行くことができていて、現在の幼稚園に通う子どもは31名。そして、幼稚園や現地NGOアップネアップに関わった女の子達は誰もその母親と同じ職業には付いていません。
 今年度も3名の子どもたちを選びました。計6名の子どもがお金の心配もなく学校で勉強ができます。
昨年度の子どもの名前は、ラニパティ、ヒナ、シャムナム。
今年度の子どもの名前は、プリアンカシェティ、ランニパティル、リナムーラ。           
ヒナとシャムナムの夢を聞きました。二人とも口をそろえて 「お医者さん」と言ってくれました。お母さんを直したいのでしょうか?それとも、優しいみんなの役に立ちたいのでしょうか? それとも・・・。       ヒナはHIV感染者。
乗り越えても、乗り越えても、そこにある苦しみがあります。
それでも、それでも この子ども達を抱きしめて、教育という明日を支える希望の光を見ていたい、と思います。 皆さんのご支援に感謝します。ありがとうございます。

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