熊日、夕刊の「きょうの発言」の載った原稿です。
「貧しいって何?」と3歳の娘に問われました。娘にとっては「このお花は何故赤くないの?」等と同じ程度の幼い疑問の一つだったと思います。寝る前のお話の時間、「昔、悲しい思いをしたからゆきさんがいました」と話し始めました。
「何で悲しい思いをしたの」「貧しかったのね」「貧しいって何?」
私はこの問いに答えようと思いました。図書館へ通い歴史や女性史を勉強しました。そんな中、父が「真実を知るには自分の足で歩き、目で見、五感を研ぎ澄ますように」と遺して逝きましました。
2000年12月の新聞にインドの売春宿の前に立つ少女達の写真がありました。わたしは彼女達の影に「からゆきさん」が見えた気がしました。
インドへ行って出会ったネパールから売られて来た少女たちや子ども達。女の子は母親と同じ道を辿ります。私は黙って通り過ぎる事ができませんでした。現地で、幼稚園を運営する活動を始めました。
エイズ母子感染の子もいれば、母親の代わりに売られた子もいます。幼稚園では通訳を介して絵本を読み折り紙をして遊びます。豊かさとは程遠い現状の中にいる子ども達です。けれど、投げかける笑顔は明るく、支援の信念が萎えそうになる時の私を支えます。3歳の娘が投げかけた問い。あれから18年が経とうとしています。
毎週水曜日で~す。