先日のNHKテレビ番組クローズアップ現代「日本の森林が買われていく」を見て、多くの視聴者が愕然としたことだろう。この夏北海道倶知安町の山林が香港企業により密かに買収されていた。外国人による森林の乱伐、水資源の枯渇を食い止める有効な手段もなく、国が進める森林再生事業も進まないという懸念が生じている。いま全国的にその動きが広がっており、地方自治体が危機感を強めている報道内容であった。
森林はそこに住む動物・植物の多様性の宝庫であり、地球環境の保全、土砂災害の防止・土壌保全、水資源の貯留、そして人間性を取り戻す癒しの空間として循環型社会を支えている。人類にとってなくてはならない「公共財」としての価値を持つ。そんな大切な「公共財」を投機の対象にする事は避けなければならない。
農地取引には一定の歯止めがあるが、森林にないというのは不備というほかない。国内の法律や社会制度が、グローバルな市場経済主義の取引に対応できていないためこの種の問題が発生する。日本の危機管理・安全保障の観点から極めて深刻な問題である。
早急に適切な法律の制定、社会制度の整備を進め危機管理能力を高めなければならない。日本の大切な「公共財」である森林を外国の私企業の手に渡してはならない。
長野稔副理事の投稿です。